先週の月曜日(4月19日)の話ですが、はこちらでは、「Marathon Monday」(マラソン マンデイ)といいボストン マラソンに関してSNSが賑わっていました。
ボストンマラソンは去年と今年2年続けて4月のレースがキャンセルになり、今年は延期になったレースが10月11日に予定されているようです。
私の知り合いでいつも土曜日のバイクに行っている方も、去年のボストンマラソンの出場権を持っていましたが、キャンセルされ今年のレースに申し込んだと言っていました。
そんな、ボストンマラソンで思い出すのが、2018年の大会でイギリスのプロのトライアスリート、Tim Don(ティム ドン)が2時間49分42秒で完走したレースです。雑誌「Triathlete」にTim Donの記事が出ていたので思い出しました。

2時間49分って、もちろん早いですが、マラソンのトップの中ではそれほどの記録ではないですよね。
何が、凄いかというと、このTimは首の骨折から半年後にマラソンに出場したということです。彼は、その前年のIRONMANの世界選手権の数日前に事故で首の骨折という事故に遭い、3カ月のハロー装具という首のギブスをつけて完治した後の復帰後初のレースでした。
Timはトライアスロンで3回オリンピックに出場しており、またIRONMANも世界記録を7時間40分23秒という記録を持っています。
そんな彼が、2017年のコナでのIRONMAN世界大会の前にバイク練習中に大事故に遭い、首の骨を骨折するという不幸に見舞われました。
幸いにも、神経は傷つけなかったので、体の動きに問題はなかったものの、3カ月の間ハロー装具という、円状の器具を頭部に4本のネジを埋め込んで固定し、それを体幹に取り付けた装具に接続して首を固定する治療を行いました。
これは完全に首を動かなくするというには一番の治療方法で、事故の後選手として復帰するにはこの方法しかないとのことでした。
彼は、頭部のネジの埋め込みからの痛みがなくなり、しばらくしたらトレーニングを開始したようです。
これは、「The Man with the Halo」というドキュメンタリーに記録されているので興味がある方はみてください。
この2018年のボストンマラソンは過去30年の中で一番過酷な環境でのレースだったようです。約3度という気温、そして雨が降り、向かい風の中でのレースで多くのDNFが出たようです。
そんな中、Timは彼自身がブラジルでのIRONMAN大会でのランの記録2時間50分を目標にして大会に臨み見事にそれを達成しました。
凄いのは、大会前に走った最長距離は大会6日前の約27キロだったようです。ハロー装具を付けてながらもトレーニングをしていたとはいえ、やはり十分にはトレーニングできず、装具が取れても首を3カ月動かしていなかったので、それから大会までの3カ月のトレーニングは非常に大変だったようです。その辺りは、ビデオに詳細に記録されています。
やはりプロは体のつくりや復帰能力も人並外れているのだと思いますが、それ以上に精神力も凄いのですね。彼の周りの人がドキュメンタリーで言っていましたが、とにかく前向きに生活していたようです。一番大変だったのは、装具を取り、トレーニングを開始しても首回りの筋肉が固まっていて思うように動かすことがままならずその時の状態が一番つらいと言っていました。
ボストンマラソンの完走後、彼は「Goodbye Broken Neck, and hello to Kona」といっていました。
今後の彼の活動に期待したいです。
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