和魂洋才

トライアスリート(アスリート)のための呼吸方法の検証 【その2:呼吸と代謝】

呼吸
https://askthescientists.com/zh-hans/respiratory-system/

前回の呼吸について記事を書いてから、呼吸について色々と調べていました。

トレーニングやレースにおいて、重要な役割を担うということが解り、呼吸とトレーニングに関する第二弾です。

呼吸の機能を調べることで、トレーニングやレースでどのように生理学的に作用するのか、またその作用がいかにパフォーマンスに関係してくるのかというのが理解することができます。呼吸の方法から、重心の安定、そして姿勢の維持、また筋肉の効果的な働きが向上していくということを検証していきたいと思います。

呼吸と代謝

酸素は文字通り私たちの生命の基で、身体を動かし続けるために最も重要な要素です。細胞は、様々な臓器にその働きのエネルギーを供給するために栄養素を分解し、エネルギーを放出するために酸素を必要とします。

呼吸器系は、酸素を血流に取り込み、エネルギーを作るときに生成される老廃物である二酸化炭素を除去するという働きがあります。

呼吸は、また運動することによって生じる 2 つのストレス要因である熱と酸化(アシドーシス)と闘う上でも重要な役割を果たします。運動量が大きければ、この熱と酸化の生成が多くなり、体の負担になります。

これらの一連のプロセスは代謝と呼ばれます。代謝は、生体内で行われる化学反応の総称で、かなり複雑な働きをします。簡単に言うと生体が酸素や栄養素(脂肪と炭水化物)を消化・吸収して、運動に必要な物質やエネルギーを生み出し、その働きで不要になった老廃物を外に排出するプロセスのことです。

その栄養素の分解プロセスには酸素が必要であるため、酸素供給が少しでも中断されると、心臓の鼓動、脳の機能、足の動きを維持するために必要なエネルギー量が低下し、パフォーマンスに影響を与えます。

持久力スポーツでは、長時間の酸素消費が必要なので、酸素を効率的に取り込む呼吸法を使用してトレーニングを行うと、パフォーマンスが向上します。これらの活動では筋肉を長時間動かし続けるために一定のエネルギー量が必要であることを考えると、酸素供給を途切れることなく維持することが極めて重要です。

以下に、トレーニングやレースで最適な呼吸方法が行えない場合、どのような問題があるか見ていきましょう。

深部体温の上昇

アスリートが経験する呼吸での問題は、過呼吸または浅い呼吸です。簡単に言うと、アスリートは必要以上に呼吸が速くなったり(過呼吸)、肺活量をしっかりと使わずに呼吸したりすることがよくあります。どちらの場合も、体への酸素供給が制限されます。

運動中は筋肉の使用により、エネルギーを使用し、運動量によって熱を放出します。呼吸での呼気は熱を排出するための重要なメカニズムであるため、浅い呼吸も深部体温の上昇を引き起こす可能性があります。

体幹の安定

一般に、呼吸頻度が高くなると、体幹の安定性が低下します。また、一回換気量(通常の空気の吸入量)が少なくなると、体幹圧が低下して姿勢が崩れ、消費する酸素が少なくなり、エネルギー生成プロセスにおける嫌気性代謝の関与が大きくなります。

疲労の蓄積

代謝には、酸素が細胞に十分に供与されエネルギーを放出する好気性と、酸素を必要とせずエネルギーを作る嫌気性があります。

ですので、細胞に十分な酸素を供給することは、運動中の代謝の種類、つまり好気性か嫌気性かを決定するため、非常に重要になってきます。好気性は、細胞に十分な酸素が供給され、エネルギー放出の主要な方法として有酸素代謝が可能になります。好気性代謝は、細胞が酸素を使用して栄養素を分解するプロセスで、エネルギー効率が高く、発熱レベルが低くなります。

しかし、呼吸に乱れが生じると、必要な酸素供給量よりも少ない酸素供給になるため、細胞は徐々に嫌気性代謝に切り替わります。嫌気性代謝はエネルギーの放出に酸素を必要としませんが、大量の熱を生成します。

また、嫌気性代謝で産生される物質で有名なのは乳酸です。通常は、糖が分解されるとき、酸素の供給が十分であれば酸化されますが、酸素が不足すると酸化されずに乳酸となります。

ですので、運動中に嫌気性代謝が進むと、体内の熱量が増え、疲労が増大し、運動強度を維持する能力を妨げます。

理想的な呼吸方法

それでは、どのような呼吸方法がよいのでしょうか?Triathleteマガジンの以下の記事から抜粋してみます。

Dear Coach: How is Breathing Related to Performance? 
Working on your breathing can unlock huge performance gains in your training and racing.

胸郭は、肺の機能に密接に関係しています。息を吸うときに胸郭が開き、吐き出すときに縮まない胸郭の動きが、呼吸の質を左右します。理想的な吸気は体を持ち上げ、胸郭全体を骨盤から持ち上げる意識を持つことです。そして息を吐きながら、肋骨の拡張を維持します。

ここで重要なことは、肋骨の広がりを維持することです。これには、「あごを引き、胸を張る」ことが重要になってきます。肋骨を支えている胸椎の上には、頚椎があり、その上には頭蓋骨がのっています。その頭の位置を身体の重心に乗せるには、あごを少し引く必要があり、胸をはることで胸鎖乳突筋と斜角筋が胸郭を持ち上げるのに役立つため、これらの筋肉が上昇します。よって、肋骨の拡張を維持することができ、運動中に体幹(重心)を崩すことなく、パフォーマンスを維持することができるようになります。

このように質の高い呼吸は、姿勢と筋肉の動きを意識することにより達成することができようになってきます。正しい呼吸は、トレーニングやレースでのパフォーマンスの質を向上させることができる重要な体の働きなのです。

まとめ

呼吸の様々な働きの中で、最も重要な役割は酸素と取り入れることです。酸素なしには、人間は生命を維持することが出来ず、運動においてもエネルギーに変換して、二酸化炭素や熱を対外に放出するという働きがあります。

そのため、持久力のレースでは、しっかりとした呼吸は安定した生体のリズムを維持しパフォーマンスを上げます。

もし呼吸が乱れると、体幹軸が不安定になったり、体内深部温度の向上、また疲労の蓄積などが現れ、パフォーマンスの低下につながります。

トレーニングでは呼吸を意識して行い、姿勢としっかりと胸郭を使った呼吸を意識することが重要になってきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました