和魂洋才

VO2MAXの追加記事 その3 – VO2MAXとランニング・エコノミー

トレーニング
https://www.runnersworld.com/training/a35701347/is-a-high-vo2-max-good-or-bad/

前回のVO2MAXの記事に続きまして、追加の記事第3弾です。今度の1月のレースに向けて、VO2MAXの勉強中なので、その記録ノートとして掲載しておきます。前回の追加記事は以下のリンクからご覧いただけます

さて、今回はVO2MAXにも関係しますが、ランニング・エコノミーに関しての記事になります。ランニング・エコノミーとは、走行時にどれだけ少ない酸素摂取量(=エネルギー消費量)で走れるかを評価する指標のことです。同じペースで走っているランナーでも、走るパフォーマンスのレベルによって、酸素摂取量(=エネルギー消費量)も変わってきます。

ランニング・エコノミーが優れている人とそうでない人が同じ速度で走った場合、優れている人は酸素摂取量が少ないので、エネルギー消費量も抑えることができます。ですので、良い結果を出せることになり、これは長距離のレースになればなるほど、その差は大きくなります。

勿論、ランニング・エコノミーでの酸素摂取量はVO2MAXにに関係してくるので、今回はマラソンの記録に関係してくるランニング・エコノミーについて書いていきたいと思います。

ランニング・エコノミー

ランニング・エコノミーは、乳酸閾値やVO2 maxとともに、長距離ランニングにおける生理学的パフォーマンスを客観的に見る手法の一つです。乳酸閾値は、ある一定の速度でどれだけ長期間維持できるかを測定することができますし、VO2 max は、運動時に使用できる酸素の総量の尺度で、パフォーマンス強度の測定が可能です。ただし、マラソンでは、どれだけの酸素量を体内に取り込めるかだけが重要ではなく、特にレースペースで酸素をいかに効率的に使用できるかが重要であり、それがランニングエコノミーです。

ランニング・エコノミーとレース

ランニングエコノミーの改善は、レースのパフォーマンスに大きな影響を与えます。レースペースを維持するために酸素をより効率的に使用できれば、そのペースをより長く持続できる可能性があります。研究によると、ランニングエコノミーが優れているランナーは、マラソンで VO2 max を高い割合を維持できることがわかっています。

Home page news - Study reveals physical demands of two-hour marathon - University of Exeter

エクセター大学のアンドリュー・ジョーンズ教授は、NIKEによるBreaking2 プロジェクトの一環として行った研究で、参加者 の VO2 max が実際には予想ほど高くなかったと発表しました。むしろ、参加したアスリートたちは、卓越したランニングエコノミーにより、高いVO2 maxを維持することができる、マラソンのパフォーマンスに必要な要素の完璧なバランス(perfect balance of characteristics for marathon performance)を持っていたと報告しています。

ランニング・エコノミーの測定方法

ランニング・エコノミーを測定する最も有効で信頼性の高い方法は、吸ったり吐いたりする酸素と二酸化炭素の濃度を測定するガス分析装置を使用することです。

コーチや生理学者は、さまざまな速度でのランニングの酸素量を測定することで、それぞれの速度でのランニング・エコノミーを分析し、時間の経過に伴う変化を測定していきます。それを基に今後のトレーニングや効率のよいフォームなどの調整などに役立てていきます。
 

ランニング・エコノミーに影響を与える要因

基本的には、身長、下腿と足の構造、速筋線維と遅筋線維の割合など、遺伝的要因がランニング・エコノミーに影響を与える大きな要因と考えられます。

例えば、腱の長さや硬さ・弾力性などは自分ではコントロールできません。ただし、呼吸数やそれに伴うVO2 maxの向上などは、ある程度の努力で向上させることが出来ますが、依然として遺伝的要因(心肺の大きさなど)が影響します。

もっとも、この私のVO2MAXに関する一連の記事は、遺伝的要素は一旦考慮せずに、トレーニングと努力で如何に効率的に向上させていくかというのが目的です。私がどれでけトレーニングをしたところキプチョゲ選手と同じVO2MAXを手に入れることは不可能なわけです。

ランニング・エコノミーを改善する方法

遺伝的要素はランニングだけにかかわらず、生活全般に影響してくるので、その中でどれだけ自分が出来る範囲で努力をして改善していくかということになってきます。私のこの記事もこのような目的です。

ランニング・ エコノミーの向上に関しては、要素が複雑ででありますが、幸いなことに、それを改善できるいくつかの方法が複数ありますので以下に記載していきます。

筋トレ

様々なランニングのトレーニングを適切に行っていれば、それと並行して行う筋力トレーニングはランニング・エコノミーを向上させることができます。

 Journal Of Applied Physiology に掲載された研究では、ランニング トレーニングの 32% を筋力トレーニングに置き換えたランナーのグループは、VO2MAX に変化を与えることなく 5Kのタイムを向上させたことが示されました

Explosive-strength training improves 5-km running time by improving running economy and muscle power - PubMed
To investigate the effects of simultaneous explosive-strength and endurance training on physical performance characteris...

反発力

腱、特にアキレス腱は、ランニング・エコノミーに重要な役割を果たします。筋肉と骨を接続する腱は、ほぼ弾性バンドのように機能し、(足の屈曲などにより)伸びるときにエネルギーを蓄え、その後放出します。このプロセスはランニングの時に、体を前に運んでいく力になり、必要な酸素量を減らし、ランニングエコノミーを向上させるのに大きな役割を果たします。

腱のしなやかな「硬さ」が必要ということで、これは筋力トレーニングによって部分的に行うことができますが、プライオメトリクスによっても行うことができます。つまり、腱の硬さと神経の効率を改善するのに役立つジャンプやホッピングの練習です。 Nature 誌に掲載された最近の 6 週間の研究では、毎日 5 分間の両足ホップ運動を行ったランナーは、より高速でのランニングエコノミーが改善されたことがわかりました。

Progressive daily hopping exercise improves running economy in amateur runners: a randomized and controlled trial - Scientific Reports
This study investigated the effects of a daily plyometric hopping intervention on running economy (RE) in amateur runner...

以前に私もプライメトリックの記事を書いているので、そちらも参照ください。

栄養

上記のアンドリュー・ジョーンズ教授が行ったいくつかの研究では、硝酸塩(ビートルートショットなど)やカフェインなどの食事の影響により、運動時の酸素消費量が減少する可能性があることが示されています。

目標レースペースでトレーニングする

常識なことですが、レースペースでトレーニングすると、体が適応し、ランニング・エコノミーが上がっていきます。しかし、これは身体への負担が大きく怪我につながるため、毎回のトレーニングでレースペースで行うことは不可能ですが、マラソンまでのトレーニング期間に何回か行うことは必要です。

ランニング・シューズ

その他、トレーニング以外での方法は、靴です。最近のカーボン入りシューズは、大分レース時間が短縮されるようです。一般的に言われているのは、これらのシューズを使用すると、マラソンで約 4%は速くなるということです。これ は、ランニング・エコノミーの向上を意味しているので、これらのシューズを使用するのも一案です。

ただカーボンからの反発をもらえるとしても、それ以外はすべて自分の仕事であり、それに見合う体力・筋力・集中力を鍛えなければ、その効果を享受するのは難しそうです。

まとめ

今回は、マラソンなどのレースで如何に効果的に速く走れるかというランニング・エコノミーを取り上げてみました。当たり前ですが、走るということに関してはVO2MAXは重要なポイントですので、VO2MAXの向上は重要なコンセプトになります。

ただエクセター大学の研究では、ランニング・エコノミーが高いトップアスリートは必ずしもVO2MAXが高いわけではなく、マラソンに関しては、様々な要素が総合的に「完璧なバランス」で備わっているということでした。

走るというトレーニングも必要ですが、筋トレや自分の身体に合ったトレーニングの量と頻度、そして、食事と回復(休息と睡眠)などで総合的に力をつけていくというのが重要と思います。

今回のエクセター大学の研究で、運動中の深部体温とパフォーマンスに関することも触れていたので、またそれを掘り下げていきたいと思います。

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