和魂洋才

陰ヨガと瞑想の考察

座法 Sitting Pose 陰ヨガ

先日の記事で、陰ヨガについて説明しました。

今日は、その内容をふまえて、瞑想時の長時間にわたる座法をどのように行うか、ということを説明していきたいと思います。

座るだけならば、楽ではないか。と思う人も多いと思います。

しかし、考えてみてください。例えば、新幹線で東京ー新大阪間の2時間の移動をする時、座席に一度も動かずに座っていることができますか?

多分、スマホをみたり、雑誌や本をみたりしていると思いますが、無意識にお尻の位置を変えたり、脚を動かしたり、脚を組んでいる人は組み替えたりと常に動いていると思います。

ましてや、瞑想という座る所作に集中することは、新幹線の座席のように快適な椅子に座ることより、難しいのではないでしょうか?

スマホのネットニュースや、本などの娯楽はありませんので、常に心身の感覚に向き合わなくてはいけません。

ずっと座るということは、身体に不快感を生じさせ、座る時間が長くなると痛みを生み出します。これは、人間の生理学の観点からすると当然のことです。

なぜならば、それは結合組織の柔軟性によるものだからです。ですので、瞑想時の座法は陰と呼ばれるのです。

今回のこの記事では、陰ヨガがターゲットにしている結合組織と座法の関係について考察していきたいと思います。

陰ヨガの復習

先日の陰ヨガの記事から、陰ヨガの特徴として以下の3つに要約できます。

  •  最低でも数分ポーズを保つ
  •  関節周りの結合組織に負荷を加える
  •  筋肉はリラックスさせる

組織の性質 - 柔軟性と可塑性 -

この3つの特徴は、筋組織と結合組織の違いからうまれていることはお分かりいただけると思いますが、ここでもう少し踏みこんでこれらの組織の性質を見てみましょう。

組織の性質として重要な特徴は2つに分けられます。一つは柔軟性(Elasticity)、そしてもう一つは可塑性(かそせいーplasticity)です。

可塑性とは、ある物質に力を加えて変形させたとき、その力を除いても形が変形したままの性質のことを言います。例えば粘土を手でこねると形が変わり、手を放してもそのままの形になります。

逆に、柔軟性は個体にある力を加えて、その力から解放すると元に戻る性質のことです。例えば、下着のゴムを引っ張ったら伸びますが離したら元に戻ります。

ここでは、可塑性が陰で、結合組織です。そして、柔軟性が陽で、筋肉組織になります。

陰ヨガでの柔軟性と可塑性

陰ヨガがターゲットにしているのが、可塑性である結合組織に負荷をかけるということであれば、数分保つ必要があります。

それは、結合組織は筋肉組織と違うからです。柔軟性と可塑性です。

筋肉のストレッチであれば、20秒から30秒ほどストレッチすれば、筋繊維がある程度伸び血流が良くなり運動の準備ができます。これがウオームアップですね。

結合組織は全く違う組織ですので、違うアプローチが必要です。身体のストレッチでいえば、筋肉ではなく靭帯や腱に働きかけるということです。

靭帯や腱といえば、スポーツにおいて怪我の多い箇所ですので、大丈夫かと疑問視するかもしれませんが、やり方をしっかりすれば非常に効果のある方法です。

ちょっと靭帯や腱と違いますが、同じ陰の仲間として歯の矯正を考えてください。

もし、歯の矯正を筋肉(陽)のストレッチと同じ要領で、力強く無理に動かそうとすれば間違いなく欠けるか折れます。ペンチで挟み無理に動かすのは矯正の方法ではありません。歯に矯正器具をつけて何か月、何年と時間をかけて負荷をかけていき歯の位置を変えていきます。

これが陰の性質です。

筋肉のリラックスと腱・靭帯の関係

また、関節と筋肉と腱の関係をみれば、筋肉のリラックスが重要なことが理解できます。

筋肉が骨に付着する部分の結合組織が腱になります。要するに、腱は骨と筋肉を繋いでいる結合組織ということです。そして、骨と骨を繋ぎ関節を形成する強靭な結合組織の短い束が靱帯になります。

ですので、腱に負荷をかけるのであれば、それに繋がっている筋肉をリラックスさせる必要があります。

腱や靭帯などの結合組織をストレッチするのであれば、筋肉をリラックスさせて、ある程度長い時間をかけて結合組織に負荷をかけていくという方法になります。

これが陰ヨガです。

次に、あるストレッチができる人と、できない人。また、それによってあるポーズが楽にできる人と、できない人の違いは何なのか見ていきましょう。

伸張と圧迫

ある動きやポーズをして、それができないとき、もしくはそれ以上動かないときには2つの理由があります。

伸張(tension)と圧迫(compression)です。

例えば、腕を上げて行ったときにその関節可動域を見てみましょう。

腕を上に上げて行き、耳の横で止まったとします。この可動域が、筋肉や腱などが硬直していてそれ以上行かないという場合は伸張です。

この場合、筋肉をストレッチして関節可動域が広がれば、それ以上動かせます。

しかし、もし腕の骨、上腕骨が肩の骨にぶつかってそれ以上動かない場合、これが圧迫になります。

この場合、どれだけ頑張ってストレッチをしてもそれ以上の関節可動域は見込めません。

この2つは、ヨガをする上で非常に重要な点です。

次に座法を見ていきましょう。

座法の解剖学

瞑想で座ることを考えた場合、重要なことは背筋が猫背にならず、しっかりと伸びていることです。

詳しく言えば、仙骨と骨盤が少し前向きに傾いている、ということです。少し前傾で、腰が少し反っている感覚の状態です。

骨盤が前傾し過ぎていても、後傾し過ぎていても、体はバランスを保とうとして、猫背気味になります。

猫背になると、肩に力が入り、呼吸が浅くなってきます。瞑想をする時は呼吸法などから入って行く場合が多いので、呼吸がしっかりとできないというのはよくありません。

もし、しっかりと骨盤の向きがしっかりと調整できれば、自ずと快適な上半身の位置が決まります。

ですので、仙骨や骨盤の向きが座法を取るときに適当な角度があり、また股関節に柔軟性があれば座るのが楽になってきます。そして、仙骨・骨盤そして股関節に働きかけるのであれば、その関節を形成している結合組織に働きかける必要があります。

座法を快適にする陰ヨガ

瞑想の座法をしっかりと苦痛なく行うには、骨盤回りや股関節の柔軟性が重要ということがお分かりいただけたと思います。

骨盤回りは、筋肉よりも、腱、靭帯などが密集しています。靭帯の量が多く、医者でも骨との区別が付きにくいほど、と言われています。

骨盤回りの靭帯に働きかけるのは、やはり陰ヨガということになります。

思い出してください。陰ヨガは、鍛えられない、もしくは順応性のないと思われている、股関節や、骨盤、そして背骨下部の柔軟性をもたせることを目的としています。

ここでは、陰ヨガのポーズの詳細を説明することは出来ませんが、座法には、陰ヨガが重要な役割を果たすということがお分かりいただけたかと思います。

まとめ

座法を長くすわるには、なぜ陰ヨガが有効かということを説明してきました。

陰ヨガの3つの重要な特徴は、筋肉をリラックスさせて、腱や靭帯などの結合組織に負荷をかけながら、長くポーズを保つ。ということでした。

今回は、それに加えて柔軟性と可塑性、そして伸張を圧迫という特性をみてきました。

これらは、人体の組織を見たときに重要なコンセプト(柔軟性と可塑性)で、ヨガの特徴を理解するには大切な判断材料(伸張と圧迫)になります。

そして、座法には、骨盤と仙骨の位置が重要ということを説明しました。そして、そのためには骨盤回りや股関節の柔軟性が大切で、陰ヨガがそのための重要な役割を担います。

このように、陰ヨガは非常に論理がしっかりしていて、地道に鍛錬すれば毎日の生活が楽になる要素が満載です。

次回は、陰ヨガのポーズを紹介する記事を書いていきます。私にとっては、陰ヨガの練習はトライアスロンのトレーニングの一部として行っているので、それらの経験も紹介させて頂ければと思います。

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