Triathlete.comの記事で、2度のアイアンマン世界王者であるノルマン・スタドラーが2026年の世界選手権でAGで復活するとの記事を載せていました。
バイクが強いというイメージがある選手ですが、私とほぼ同年代なのでこの復活はかなり元気をもらい、嬉しいニュースでした。
15年ぶりの復活
2010年のコナ大会で、スタドラーは33位という不本意な成績でフィニッシュしました。過酷なレースの最中、ライバルのティム・デブームと「もう二度と戻らない」と誓い合いましたが、その苦い記憶が長年彼の中でくすぶっていました。
53歳となった今、彼は「キャリアの幕引きを自分自身の手で書き換えたい」という強い願いから、エージグループ部門での復帰を決意したようです。
健康上の試練
今回の復活で凄いのは、彼はかなり大きな心臓の手術を2011年にしたということです。7センチもの巨大な大動脈瘤と心臓弁の損傷が見つかり、5時間に及ぶ緊急手術を受けました。当初、彼は「20年間の過酷なトレーニングが心臓を壊した」と自分を責め、この手術をきっかけに競技から離れました。
ただ、2016年に、彼の母親も同様の心臓病を患ったことで、それが遺伝的なものであったことが判明し、この発見が彼のスポーツに対するわだかまりを解き、再び体を動かす前向きな姿勢を取り戻すきっかけとなった、とのことです。
手術を乗り越えて健康を取り戻した姿を見せることで、同じような病に苦しむ人々を勇気づけたいという思いがあるようです。
コナへの出場権
やはりアイアンマン世界王者というのは凄い特権があるのですね。ご存じのように、通常、コナへの出場には厳しい予選を勝ち抜く必要がありますが、アイアンマン世界王者には「生涯出場権(Lifetime Qualification)」という特権があるようです。
ところが、今回の出場にあたり、この権利の行使は簡単ではありませんでした。しかし8回のアイアンマン女王のポウラ・ニュービー=フレイザー(Paula Newby-Fraser)の協力もあり、2026年大会の出場枠を確保しました。
やはり、10月のコナのレースの前にIRONMANディスタンスのレースに出ていないし、王者といえどもレースからかなり遠ざかっていたので、彼がその資格があるのか、というのが問題だったようです。ですが、この特権は有効なので今回は、それを行使しての出場のようです。
レース復帰への動機
復帰の大きな動機の一つは、全盛期の父を知らない14歳と17歳の息子たちに、アイアンマンとして戦う姿を見せることです。「楽しむため」と言いつつも、かつて「ノルミネーター」と呼ばれた彼の競争心は健在で、現代のカーボンシューズや最新バイク、栄養学、データ分析、インドアトレーニング技術(Kickrなど)を積極的に取り入れてトレーニングをしているようです。
彼自身によると、バイクの走力は依然として高出力をキープできるが、ランニングの再構築が大きな課題であると自己分析しています。
オープンな発信への転換
かつてのプロ時代は「トレーニング内容はすべて秘密」というスタイルでしたが、今回はYouTubeやInstagramでその過程を公開しています。
彼の引退後、スポンサーも減っていき、自分が現役中に活躍していたトライアスロンチームも消滅しましたが、今回の復帰で、レース結果がすべてのプロの世界から離れて、自分が好きだったあの「地獄のような苦しみ」のトレーニングに戻ることができていることで、非常に幸せを感じているとのことです。
自身の経験(心臓手術からの復帰)を共有することで、同じ病を持つ人々へ「健康を取り戻し、挑戦できる」という希望を届けたいと考えており、また新しい形のプロモーション(スポンサー探し)にも挑戦しています。


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